前回、仕組みは壊れるのではなく、「行き過ぎる」と書きました。
一方向に動き続けてしまう。
止まるわけでもなく、自然にバランスするわけでもない。
では、その「行き過ぎ」は、実際にはどのように起きているのでしょうか。
モノポリーで起きていること
ボードゲームのモノポリーをやると、
ゲームの後半はだいたい似た展開になります。
あるプレイヤーが有利になると、
その人はさらに土地を買い、さらに収益を得て、
ますます有利になっていく。
そして、ほとんど一方的な状態になります。
これは単に運や実力の問題ではありません。
仕組みとして、有利な状態が、さらに有利を生むようにできているからです。
同じことは、現実でも起きている
この構造は、ゲームの中だけの話ではありません。
例えばSNSでは、フォロワーが多い人の投稿ほど、多くの人に届きます。
そして届くことで、さらにフォロワーが増えていく。
Airbnbのようなレビューのあるサービスでも同じです。
評価の高い宿は、より選ばれやすく、選ばれることでレビューが増え、さらに評価が強化されていく。
ここでもやはり、有利な状態が、そのまま次の有利につながるという流れが生まれています。
システムは、強まり続ける
前回触れたメドウズの話に戻ると、システムは一度生まれた流れを、そのまま強め続けるという性質があります。
この流れは、途中で自然に止まるわけではありません。
むしろ、そのまま進み続ける。強いものは、さらに強くなる方向へ。
モノポリーも、SNSも、レビューも、すべてこの具体例として捉えられます。
逆向きの仕組みもある
ただ、すべてがそうなっているわけではありません。
ネイティブアメリカンの文化に「ポトラッチ」という儀式があります。
これは、富を蓄えるのではなく、むしろ分配し、贈与することで名誉を得るという仕組みです。
多くを持つ人ほど、多くを手放す。
結果として、全体のバランスが保たれます。
同じ「仕組み」でも、向きが違う
モノポリーやSNSでは、強いものがさらに強くなります。
ポトラッチでは、強いものが自ら強さを手放します。
どちらも「仕組み」ですが、流れの向きが違う。
- 強いものをさらに強くする仕組み
- 強いものをあえて戻す仕組み
こうした違いは、文化や制度、市場の違いにも見えます。
ただ見方を変えれば、どれも「行動をどう生み出すか」という構造の違いとも言えます。
設計とは、流れに手を入れること
ここまで見てくると、仕組みについての見え方が少し変わります。
仕組みは、何かを自然に強めていく。
そして、そのまま放っておくと、行き過ぎる。
だから設計は、
- 何を強めるのか
- どこまで強めるのか
- どこで戻すのか
を扱うことになります。
行き過ぎることを前提にする
前回書いたように、仕組みは静かに行き過ぎていきます。
であれば、行き過ぎないようにするのではなく、行き過ぎたときにどう戻すかをあらかじめ含めておく。
その方が、自然な設計なのかもしれません。


