最近読んだ、ある言葉が頭に残っています。
「より良いデザインへの最良の道は、完璧な初期プロンプトではなく、反復である」
どこで見かけたのか、正確には思い出せません。
ただそのときは、上手に言葉にするものだと、思わず膝を打ったのを覚えています。
良いものは一度ではできない。
実際に使われて初めて問題が見える。
そして、何度も試しながら精度を上げていく。
これはこれまでの仕事の中で、繰り返し経験してきたことです。
そう考えると、特別なことを言っているわけではないはずです。
むしろ、「今までと同じだ」と思ってしまえば、それで済む話でもあります。
そう思えたほうが、少し楽でもある。
新しい前提を引き受けなくて済むからです。
ただ、どうもそれだけでは片付かない感覚も残ります。
その違いは、反復そのものの“速さ”にあるように思います。
思いついたことを、すぐに形にできる。
すぐに触ってもらえる。
その場で直すこともできる。
反復が、ほとんど思考と同じ速度で回るようになっている。
以前の反復は、もう少し重たいものでした。
考えて、作って、出して、待って、直す。
それぞれに時間がかかり、間がありました。
いまは少し違います。
考えながら作り、作りながら触り、触りながら直していく。
反復が連続的になり、“現実に触れるまでの距離”がほとんどなくなっています。
反復であること自体は、変わっていません。
ただ、もはや比べようもないくらいに早く軽い。
最初にどれだけ正しく考えられるかではなく、どれだけ現実に触れ続け、調整し続けられるか。
設計の重心も、少しずつそちらに移っているように感じます。
こうして書いてみると、やはり大枠では「今までと同じ」です。
ただ、その“同じ”の中身が、少し変わっている。
同じでありながら、同じではない。
その違和感は、いま起きている変化を捉えるための、ひとつの手がかりなのかもしれません。


