本連載では、Habit Loopという馴染みのある枠組みから出発しました。
Trigger。Action。Reward。この三点構造は、いまも有効です。
ただし、その前提は変わりつつあります。
Triggerは生活に編み込まれ、Actionは協働を前提とし、Rewardは自己理解を促すものへと重心を移す。そしてその背後では、学習層が静かに働いている。
習慣化の支援は、固定された仕組みではなく、更新され続ける関係づくりの装置になりつつあります。
設計の土台は、既に一段上がってしまった
ここで改めて問い直したいのは、私たちは何を設計しているのか、ということです。
Habit Loopは「習慣化を支える体験の設計」に使われてきましたが、機械協働環境においては、設計のレイヤーがもう一段上がるといえるのではないでしょうか。
私たちは、人と環境の関係性を設計している。
Triggerの置き方は、生活との距離を決める。Actionの設計は、努力の意味を決める。Rewardの設計は、成長の解釈を決める。そして学習層の設計は、その関係がどの方向へ更新されるかを決める。
これは小さなことのようでいて、決して小さくありません。
習慣は、自己像をつくる
習慣は、単なる行動の繰り返しではありません。習慣は、その人の自己像を形づくります。
うまくいかなかったとき、何を「失敗」と感じるのか。成長にともなう不快さとどう向き合うのか。
こうした解釈は、本人の内面だけで決まるのではありません。
環境から返ってくるフィードバックの質に、強く影響されます。
機械協働環境が持ち込む変化は、ここにあります。
失敗は、単なる挫折ではなく「学習に変換可能な情報」になり得る。
努力は、孤独な消耗ではなく「伴走によって調整されるプロセス」になり得る。
継続は、気合ではなく「成功確率を上げる条件設計」になり得る。
つまり、習慣が“続くかどうか”だけではなく、習慣のなかで“どんな自己像が育つか”まで設計可能になりつつある。それが、機械協働時代にUXの設計者がもつべき視点になる。
設計の前提が変わったのなら、わたしたちの想像力もまた、更新しなければならない。
それが、この連載で伝えたかったことです。

