Design
環境が行動を変えていくのであれば、デザイン対象はまさにその環境にある
人の行動は、本人の意志や性格だけで決まるものではありません。
むしろ、その人が置かれている環境や状況が、行動の大きな決定要因となります。
たとえば、机の上にお菓子が置かれていれば手を伸ばしやすくなりますし、アプリの通知が画面に表示されれば、今している作業を中断してしまうことがあります。
これは「環境が行動を誘発する」典型的な例です。
この環境の力は、日常の中にあまりにも自然に存在するため、私たちは気づきにくいのが特徴です。
しかし、デザイナーや事業者がこの仕組みを理解すれば、意図的に環境を設計し、行動を望ましい方向へと導くことが可能になります。
重要なのは、環境を「背景」や「付属物」として軽視しないこと。
店舗のレイアウト、ウェブサイトの動線、製品の初期設定、説明文の表現――これらすべてが、利用者の行動や意思決定に強い影響を与えます。
行動変容を促すデザインの第一歩は、「人を変えようとする」のではなく、「環境を変えること」から始まるのです。